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自閉症

 

自閉症は、発達障害のなかの広汎性発達障害に分類されます。広汎性発達障害とは「言葉や認知の面など、様々な領域において発達に遅れがみられる障害」のことを指し、自閉症以外にアスペルガー症候群などがあります。
発達障害にはこのほか、「学習障害(LD)」や「注意欠如・多動性障害(ADHD)」があります。

広汎性発達障害、LD、ADHDは併発することも多く、さらにどれも似たような症状が起こるため、専門医でなければ判断はできません。また、年齢や環境により目立つ症状が違ってくるので、診断された時期により、診断名が異なることもあります。

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発達障害は障害の困難さも目立ちますが、優れた能力が発揮されている場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくい障害です。発達障害の詳しい原因はまだよくわかっていませんが、現在では脳機能の障害と考えられていて、小さい頃からその症状が現れています。?早い時期から周囲の理解が得られ、能力を伸ばすための療育等の必要な支援や環境の調整が行われることが大切です。

 

自閉症とは

自閉症は、先天的な脳の機能不全による障害であると言われています。 脳のどの部分の障害であるかなど、詳細は現在もわかっていません。親の育て方が原因ではありません。

 

自閉症の特徴

自閉症の子どもには、以下の3つの特徴が見られます。

■言語やコミュニケーションの障害

呼びかけに反応しない、要求を言葉でしない、言葉の意味を理解するのが難しい、オウム返しがみられる等

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■社会性に関する障害(対人関係の困難さ)

目を合わせようとしない、表情が乏しい、相手の気持ちを読み取りにくい、場の状況や雰囲気がつかみにくい等


■反復的で常同的な行動や活動、こだわりや限定的な興味

・行動や活動 …手をひらひらする、体を常に揺らす、同じ場所を行ったり来たりする等
・こだわりや興味 …手順や道順等に固執する、回転するものをずっと見ている、ものを一列にひたすら並べる等

※これらの特徴の見られ方は子どもによって異なり、また同じ子どもでも年齢や発達段階によって変わってくることがあります。

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自閉症の人のうち、約8割の人は知的障害(または精神遅滞)があるといわれています(知的障害とは知的機能の発達水準が低い状態のことをいい、具体的には知能指数(IQ)が75未満の場合を指すことが多い)。 これに対して、知能指数が75以上で自閉症の症状が見られる場合、高機能自閉症と呼ばれます。 児童期・青年期には注意欠陥/多動性障害(AD/HD)学習障害(LD)、てんかんを合併しやすいことが知られています。

 

自閉症の発生頻度

自閉症は約500人に1人いると言われ、症状が軽い人たちまで含めると、約100人に1人いると言われています。性別では男性に多く、女性の約4倍の発生頻度です。自閉症者の近親者では、発生頻度が約5-10倍であることが知られています。

 

自閉症の治療

現代の医学では自閉症を根本的に治療することはまだ不可能ですが、自閉症の人は独特の方法・手順で物事を学んでいくので、一人ひとりの発達に沿った療育や指導が必要となります。乳幼児期から始まる家庭療育・学校教育そして就労支援へと、ライフステージを通じたサポートが、生活を安定したものにすると考えられています。また、かんしゃくや多動・こだわりなど、個別の症状は薬によって軽減する場合もあります。信頼できる専門家のアドバイスをもとに状態を正しく理解し、個々のニーズに合った適切な支援につなげていきましょう。

 

 

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群は、広い意味での「自閉症」のひとつのタイプです。アスペルガー症候群は、明らかな認知の発達、言語発達の遅れを伴いません。むしろ特定の分野の知的能力が高い例が見られます。しかし、相手の表情が読み取れない、人に関心をもって近寄るけれども、距離のとり方や話しかけ方が不自然だったりする傾向が見られます。

アスペルガー症候群は、発達障害のなかの広汎性発達障害に分類されます。広汎性発達障害はアスペルガー症候群以外に自閉症などがあります。

 

アスペルガー症候群の原因

アスペルガー症候群は、自閉症と同様に先天的な脳の機能不全による障害であると言われています。 脳のどの部分の障害であるかなど、詳細は現在もわかっていません。親の育て方が原因ではありません。

 

アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群の人々には、「表情や身振り、声の抑揚、姿勢などが独特」「親しい友人関係を築けない」「慣習的な暗黙のルールが分からない」「会話で、冗談や比喩・皮肉が分からない」「興味の対象が独特で変わっている(特殊な物の収集癖があるなど)」といった特徴があります。このほかに身体の使い方がぎこちなく「不器用」な場合が多くみられます。

 

幼児期のアスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群の子どもは、言語や知能の発達に遅れがないため、これまで幼児期に気づかれることがあまりありませんでした。しかし近年では、幼児期にみられる特徴が少しずつわかってきました。「ひとり遊びを好む」「人とするごっこ遊びが広がりにくい」「同じ遊びを繰り返す傾向が強い」「行動がパターン化し融通がきかない」などです。保育園や幼稚園では「他の子どもにあまり関心がない」「集団で遊ばない」などの特徴がみられます。 このような子どもは集団生活ではストレスをためやすいので、できる限り早期から子どもの特徴を理解し、その子どもにあった支援を専門家に相談して、家庭や地域と連携して行うことが大切です。早期からの適切な関わりは、子どもが安心して力を伸ばしていくことにつながります。

 

アスペルガー症候群の発生頻度

狭い意味でのアスペルガー症候群は約4000人に1人と言われています。しかし知的な遅れがなく言葉の流暢な非定型自閉症の人々も含めた広い意味での「アスペルガー症候群」の発生頻度は自閉症よりも多いことが知られています。
性別では男性に多いですが、女性でも診断につながらずに対人関係の悩みを抱えている人々が、これまで考えられていたよりは多いことが分かってきています。

 

アスペルガー症候群の治療

原因や治療については、自閉症と共通することが多いため、自閉症のページをご参照ください。

 

 

学習障害(LD)とは

学習障害はLDと略されることもあり、Learning DisordersまたはLearning Disabilitiesの略語とされています。全般的な知的発達に遅れはなく、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどのうち、特定の能力の習得や使用に著しい困難がある状態を言います。的確な診断・検査が必要で、一人ひとりの状況に応じた対応が求められます。ADHD高機能自閉症などを伴う場合には、それらも考慮したサポートが必要で、家庭・学校・医療関係者の連携が欠かせません。

 

学習障害(LD)の診断

学習障害が疑われるときには、中枢神経系の器質的な疾患の有無を明らかにするために、医学的な評価も重要です。
これまでの発達歴・既往歴などを確認し、必要に応じて頭部画像検査などが行われます。また心理学的検査によって視覚認知機能や音韻認識機能を知ることも重要です。学習障害の中で最も多いディスレクシア(読字障害)では、文字を音に変換するための音韻操作や読みの速さの能力をみることが支援につながるため、専門家(小児神経科医師など)と相談することが必要になります。ADHDや広汎性発達障害がある場合は、学業不振がそれらに伴うものかどうか見極めが必要となります。家庭と学校そして医療関係者の連携がとりわけ重要です。

 

 

注意欠如・多動性障害(ADHD)とは

注意欠如・多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、ADHDと表記されることもあります。脳の機能不全による障害と言われており、不注意・多動性・衝動性の3つの症状が特徴です。具体的には、それぞれ次のような様子が見られます。これらの症状は通常幼児期から学齢期までにあらわれます。


1、不注意…指示を忘れてしまう、忘れ物や物を失くすことが多い、気が散りやすいなど
2、多動性…座るべきときに歩き回る、落ち着きがないなど
3、衝動性…相手が話し終わる前に話し出す、順番を待てない、突発的に行動してしまうなど


実際には、これらの症状の組み合わせで「不注意優勢型」「多動性―衝動性優勢型」「混合型」の3つのタイプに分かれることが多いものの、成長とともにタイプが変わることもあります。たとえば、学齢期までは「多動性」が目立っていても、思春期以降になると症状が収まってくることが多いと言われています。

注意欠如・多動性障害(ADHD)は、学習障害(LD)と併発することもあります。

 

注意欠如・多動性障害(ADHD)の診断

ADHDの診断については、アメリカ精神医学会(APA)の診断基準DSM-5に記述されており、下記などの条件が全て満たされたときに診断されます。

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1、「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序立てて活動に取り組めないなど)」と「多動性-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人の邪魔をしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること

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2、症状のいくつかが12歳以前より認められること

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3、これらの症状が2つ以上の状況において(家庭・学校など)見られること

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4、発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること

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5、統合失調症など他の精神病性障害の経過や精神疾患による不注意・多動性-衝動性ではないこと

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このようにADHDの診断は医師の診察で観察された行動上の特徴に基づいて行われ、それ単独で診断可能な医学的検査はありませ ん。しかし一部の神経疾患・身体疾患・虐待・不安定な子育て環境などが子どもにADHDに似た症状を引き起こす場合があるため、小児科・小児神経科・児童精神科医師による医学的評価は非常に重要です。

 

注意欠如・多動性障害(ADHD)の治療

ADHDを持つ子どもは努力しても、どうしてもじっとしていられなかったり、学校で必要な持ち物を忘れたり失くしたりしてしまいます。このような失敗は周囲から叱責されやすいため「どんなに頑張っても上手くいかない自分」と自尊感情が低下し、家庭や学校において辛い思いをしていることが多いようです。


さらにADHDを持つ子どもは学業不振や対人関係で悩むだけでなく、気分が落ち込んだり、不安感をコントロールできなくなったりするなど、心の症状を合併することもあります。このため子どもに何らかの困った行動が見られ、その背後にADHDの特性があると診断される場合には医学的治療が必要です。

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?ADHDを持つ子どもの治療は「1. 薬物療法」「2. 環境への介入」「3. 行動への介入」などを並行して行うと効果が高いと言われています。

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薬物療法では、メチルフェニデート(コンサータ)という薬がADHDの不注意・多動-衝動性を軽減する可能性がありますが、これは登録された専門医療機関でのみ処方が可能です。最近では新たにアトモキセチン(ストラテラ)という薬剤も処方可能になりました。

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環境への介入としては、教室での机の位置や掲示物などを工夫して本人が集中しやすい環境づくりをする物質的な介入や、勉強や作業を10~15分など集中できそうな最小単位の時間に区切って行わせる時間的介入などが有効です。

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行動への介入では、子どもの好ましい行動に報酬を与え、減らしたい行動に対しては過剰な叱責をやめて報酬を与えないことで、好ましい行動を増やそうという試みを行います。望ましくない行動を我慢できたことやその行動の頻度が減ったことなども、しっかりと褒めてあげることが重要です。トークンエコノミーという方法では、報酬を得点化して一定数になったら子どもにとってのご褒美(ゲームを30分できる、映画に行くなど)につなげるようにします。

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多動症状をただ押さえ込むようなスタンスの治療は良い結果を生みません。周囲から見える子どもの問題と、子ども本人が感じている困難さは同じでないことの方が多いのです。親子という関係に留まらず、家庭と専門家、学校が連携を図りながら子どもの困り感に寄り添っていくことで、ADHDを持つ子どもはこの障害を乗り越えるのに必要な力を得ることができるでしょう。
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